|ラドアンテナTop|製作のノウハウ|製作・調整に必要な測定器 |設置方法|性能検証|技術考察(1)|技術考察(2)|失敗作例|他のアンテナとの比較考察|よくある質問集(Q&A)|自作ユーザー各局のご紹介|
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スーパーラドを作り始めた当初やうまく作れるようになったと思っていた頃にも失敗作は結構作りました。30数本以上駄作を作っています。Hi
これまでスーパーラドを試作された諸氏の中にも、最初は下記のような失敗作を作られた方もかなりいらっしゃいます。そんな出来損ないのスーパーラドを作らないように、私の失敗作をご紹介します。
コイルとシリンダで構成されるスーパーラドは、自己共振させるための要素であるLは(計算や測定で)判るがCは特定しずらい。コイルの線間容量やリンクコイル式にした場合のC、コイルとシリンダ間のCなど不確定なCの集合だからです。
私が固定Cを念頭に置くのは上記の理由によりますが、Cが多すぎれば帯域が狭くなり、周波数によっては帯域をカバー出来ないものが出来上がります。スーパーラドは、共振周波数のLCの値を計測または推測しておくことが非常に重要なのです。2.に大きく関係する事項ですから、必ず推測しておきます。
*筒型シリンダと円盤型シリンダでは当然形成されるCが違います。(筒型<円盤)これも念頭に置いてください。
共振周波数をアンテナアナライザーのSWR最良点で探すような方法は危険です。また、ディップメータなどでは共振点でのディップは意外に浅く見逃すことも多々あります。ワイヤーアンテナのように簡単には見付からないことがありますので注意が必要です。
スーパーラドアンテナは等価的に並列共振回路です。直列ではありません。このことは非常に重要な事項ですから絶対に忘れてはいけません。つまり、調整時に於いて並列共振回路特有の特性となればラド動作ですが、そうでなければ別の動作をしている「もどきアンテナ」と言うことになります。
スーパーラドは充分に小型のアンテナですが、設置を考えると結構太いパイプで作りますので、空中での設置に苦労することもあります。そこで、それまでは3.5MHz用にVU100という約11cm口径の塩ビパイプを使っていたのですが、もっと細ければ設置が簡単だと思い、VU50という6cm口径パイプで作り始めたのです。
それまでの経験からインダクタンス100μH程度で自己共振するはずと思い、100巻きでいいはずと思って巻いたものの、共振周波数を見るとまだ4MHz台。そこで、巻き足して行くのですが、思うように周波数が下がってくれません。結局、180巻き、コイル長60cmほどになってしまいました。
TXに繋いでみたら何故かやたら受信感度が悪い。そこで、ローパワーを入れて蛍光灯をシリンダに近づけてみると、何だかいつもより光り方が弱い。で、コイルに近付けてみると、なんとコイル全体でも光るじゃありませんか! これを見ながら1人で爆笑しました。
よく考えたら、約40mの銅線を巻いたことになっています。何のことはない、トップロードヘリカルアンテナの一丁上がりです!
こんなものが飛ぶはずもありません。リッパな失敗作でした。
原因は、コイル長が長くなり過ぎたために、シリンダ間との容量がどんどん「逃げて」いったために起こった現象でした。自己共振にこだわったためで、固定Cや追加のバリCを入れてやれば良かったのですが、パイプが細いと充分なLが得られず、帯域の狭い使いにくいアンテナになります。
こんなアンテナを作らないために
これは、調整時に長い同軸や共振周波数の1/n倍の同軸を繋いだときに起こる現象で、うっかりこれをやってしまうと調整が泥沼になり、出来の悪い短縮トップロードアンテナのようなものが出来ることがあります。
3.5MHz用を作って室内で調整していた時のことです。別室にあるシャックのTXと繋いでローパワーで給電し、SWR計を見ながらSWRの調整をしていたのですが、どういう訳かVSWRが一向に落ちない。不審に思って共振周波数を計って見ると2MHz台に共振しています。ははぁ、コイルを巻きすぎたのかと思ってコイルをほどいて共振周波数を見ると、なんと2MHz台で変化していない!そんな馬鹿な。
しかも、シリンダ部分に蛍光灯を近付けても光っておらず、スーパーラドとしての動作をしていない。何かがおかしい。
そこで、アンテナをTXから外して、給電部にリンクコイルを付けてディップメータで共振周波数を再度見てみると、今度は4MHz台になってしまっている!
実は、いつもは1mほどの同軸を繋ぎ、アンテナアナライザーで調整していたのですが、この日はたまたまその1mの同軸をリニアの調整に使っていたので、別室にあるTXとアンテナを13〜4m長の同軸に繋いで調整していたのです。
13〜4mという長さは5D2Vの短縮率(約67%)を考えると3.5MHzの1/4波長の長さではありませんか。(7MHzだと7m)そうです、そのとき私は同軸込みの共振周波数を計っていたのです。改めて良く見ると直列共振しています。TX側から見ると出来の悪い同軸輻射の短縮トップロードアンテナの出来上がりです。某OMもこれに引っ掛かって悩んだと仰ってました。
こんな時に追加のCを入れて共振させようなどとやると、もう泥沼で、自分が何を調整しているのかすら判らなくなります。試しに、同軸に電界強度計を近付けるとリッパに針が振れました(笑)こんなことにならないよう、
これは、このアンテナの製作初期にやってしまった失敗です。
スーパーラドの1号機は3.5MHz用でタコ糸と銅線を一緒に巻く方式のスペース巻きだったのですが、一緒に巻く作業が面倒だったので、2号機は密着巻きにしたのですが、密着巻きをしてインダクタンスを計り、共振周波数をディップメーターで確認したら、うまい具合に3.5MHz付近になっています。
しめしめと思って、SWR調整をすると何とも広い帯域になっています。これはうまくいったと喜んでTXに繋いでみると、何かおかしい。1号機に比べて感度がかなり悪い。原因が判らず、しばらく放置していたのですが、あるときに再度共振周波数を見てびっくりです。どういう訳か3.1MHzにも共振点があったのです。で、ディップメータであちこちの周波数を見ていくと、あちこちに共振点が見付かるのです!
これは、我々がゴーストと呼んでいる共振で、ホンモノが3.1MHzなのにニセの3.5MHzで調整してしまったために起きた失敗でした。共振点が近かったために広帯域になっていたので、あながち悪くは無いのですが、ホンモノに気付かない場合は、感度が悪く飛ばないアンテナのままです。
このページについて
このアンテナに関する知見は、現時点での当局の実験・試行錯誤、開発者からのアドバイス、同志の諸OMの実験結果の末に知り得た情報や結果に由来します。
つまり、情報が正確であることやアンテナの性能を保証している訳ではないと言うことをご理解ください。
大きな可能性を秘めていると我々が確信しているこのアンテナを広くみなさんに知って欲しいと願っているだけです。
このアンテナにはまだまだ未知な部分があり、私を含め仲間たちはその探求を行っているのです。