|ラドアンテナTop|製作のノウハウ|製作・調整に必要な測定器 |設置方法|性能検証|技術考察(1)|技術考察(2)|失敗作例|他のアンテナとの比較考察|よくある質問集(Q&A)|自作ユーザー各局のご紹介|
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スーパーラドアンテナの製作記事を書くようになってから、サイトへのご訪問も増え、様々なメールを頂戴するようになりました。殆どは、このアンテナの製作方法に関するご質問なのですが、中には現在発表されている小型アンテナとの違いをご指摘されるメールもございます。
そこで、今まであったご指摘の中から、代表的なものをピックアップしてその比較考察をしてみようと考えました。浅学な私ですが、アンテナの勉強にもなります。
ご指摘があったアンテナは残念ながらいずれも自作経験の無いものばかりですので、誤った理解をしているかもしれません。ご指摘は大いに歓迎致しますので、ご連絡頂ければ幸いです。
当局はマイクロバートアンテナ/Micro Vert Antennaの詳細を知らなかったのですが、何人かの方からスーパーラド/Super radはマイクロバート/Micro Vertの動作じゃないかとのご指摘がありましたので、当局なりに考えてみることにしました。
マイクロバートアンテナ/Micro Vert Antennaの構造
なるほど。これを見た率直な感想は短縮バーチカルアンテナですね。等価的にモノポールアンテナでしょう。短縮されたエレメント(パイプ部分/C+L)とCMF/CMCで適当な長さでチョークされた同軸=エレメント(又はカウンターポイズ)で共振させているようです。うまい方法だと思います。同軸を積極的にアンテナエレメントの一部として利用することで小型化を実現しているようです。どうせ同軸からの輻射は0には出来ないからエレメントと考え、どんどん輻射させてやれ!という開発者の意図が透けて見え、とても面白いアンテナだと思います。
MV付属のコイルは延長コイル(共振コイル)でしょう。そして、エレメントを太目のパイプで構成し、ワイヤー以上のCを稼ぐことでエレメント長が短くて済むように考慮されているようです。エレメント頂上部に容量環を付加すれば更に短縮が可能ではないでしょうか。これらは非常にオーソドックスなエレメント短縮方法であって、エレメント部分だけを見ると特に目新しい点は無いと思います。但し、アンテナシステム全体から見れば、このエレメント部分は周波数調整機構(共振機構)と言えると思います。
アンテナ全体を見るとこのアンテナの主な輻射はむしろ同軸ではないかと思えてきます。然しながら、同軸に大きな同相電流を流すことは結構難しいことなのですが、MVはそれを実現することで実用的な輻射効率を得ているのでしょう。
つい最近、知人の某局からマイクロバート(MV)の開発者の原典の紹介があり、その中でMVのラジエターの構造に興味深い指摘がありました。MVではラジエター径とコイル径が同一であり、構造として、また原理的にスーパーラドと同じではないかとのご指摘でした。なるほど・・ 確かにそのようにも見えます。私は下側Lを延長コイルと断じていましたが、共振コイルと説明されているようです。(それでも、本質はやはり同じだと思います。LC共振回路として利用している点で。それに、図を見る限り直列共振回路です。)(下図/DL7PE)
LC共振回路を形成している点では確かにMVの構造とスーパーラドは同じ様に見えるのかもしれません。では、MVのラジエターとはどういう働きをしているのでしょうか。例えば、3.5MHz用のMVアンテナのラジエターに2〜30cmのものは使えないはずです。(スーパーラドでは可能です。)そもそも、輻射を行う方法そのものが違い、MVのラジエターはあくまで短縮されたエレメントだと思います。
MVのラジエターは下側に配したコイルと共に共振回路を作ると同時にラジエターを適当な長さにすることで電位勾配による電流のムラを作り出す(ワイヤーエレメントと同様の動作)ことで輻射抵抗を得ていると考えるのが妥当だと思います。
MVもひょっとしたらスーパーラド的動作(誘導二次輻射)が構造的に多少あるのかもしれません。とは言え、輻射が「どの部分から生じているのか」を実験、検証してみれば判ることでしょうが、調整されたスーパーラドは例えばMVのラジエター部分に相当する「シリンダ」部分からが殆どであることが判ります。それに、筒型シリンダの場合は形状が似ていますが、円盤シリンダではMVとの類似点は今の所見当たりません。円盤からのみ輻射が観測出来れば、MVとの違いは明白となると思います。
・マイクロバートはパイプを垂直に立てればどう見てもバーチカルアンテナでしょう。偏波は垂直偏波のはずです。同軸を水平にすると水平偏波となるとの解説があるようですが、同軸からの輻射成分があるせいだと考えれば納得できます。スーパーラドは垂直に立てた状態で水平偏波です。この事は既に実験で確認しています。
・スーパーラドに於いても同相電流の発生はありえます。(これは、平衡なアンテナ/理想的なDPなど以外のアンテナ全てに言えることではないでしょうか)しかし、上手に調整されたスーパーラドでは同相電流は無視出来るレベルであり、同軸からの輻射は殆どありません。
・スーパーラドのエレメントはシリンダ部分のみです。電磁波の発生を観測(近傍では電磁波だけの観測は難しいですが)してみると判ります。マイクロバートではラジエータ〜ラジアル全体で電磁波の発生が観測出来るのではないでしょうか。
■上記の感想は、あくまでマイクロバートの概略図からの感想です。実際に自作、試験を行った訳ではありません。マイクロバートを自作された方、是非ご意見をお寄せください。お待ちしております。
このアンテナの詳細も知らなかったので、下記を参考にしました。
EHアンテナの理論・原理の説明
http://members.jcom.home.ne.jp/fr-radio/DEFINITION.htm
開発者はフェイズシフト・ネットワークの新規性と重要性を述べています。そして、フェイズシフト・ネットワークとインピーダンスマッチングネットワークがEHアンテナの構成要件と主張しているように理解しました。
マッチングネットワークはともかく、フェイズシフト・ネットワーク?良く判りません。
EHアンテナ等価回路図
残念ながら、私には良く理解出来ない等価回路です。特に挿入されているフェージングネットワークの意味が良く判らない。解説を読むと、ネットワークさえ付ければ従来のアンテナがEHアンテナに変わってしまうらしいけれど。
実際のEHアンテナ(モデル)
じっと眺めていますが、スーパーラドを実験している私には、離してしまったシリンダから多少の二次輻射が期待出来るかもしれないスーパーラド様の動作とシリンダとフェイズコイルで形成されるLC回路から成るトップロードアンテナの組み合わせのようなものにしか見えない・・・。全くの見当違いかもしれませんが。
(EHアンテナに詳しい方がいらっしゃいましたら、ご解説頂けると有り難いです。)
2009/10月号のCQ誌に発表された135KHz用EHアンテナの記事を見てのけぞってしまいました(笑) このアンテナにはフェイズシフトネットワークが省略されています! をいをい!と突っ込みを入れたくなります。フェイズシフトネットワーク無しのEH・・ですか。記事によれば、2,200mならフェイズシフトネットワークは不必要で省略しても良いと仰ってます。そんな・・ フェイズシフトネットワークで位相を遅らせ云々のEHの原理はどうなっちゃたのでしょう。
電界と磁界の位相を揃えるために、電流の位相を90°遅らせるフェイスシフト・ネットワークを付加することによって ヘルツ・アンテナはEHアンテナにすることができます。こうしてEHアンテナは送信機出力をアンテナから直接放射でき、これがEHアンテナの特許の基本になっています。
上記の理論が何か変だなと思った方もいらっしゃる筈です。電界と磁界の位相を揃えるとは一体何を言いたいのでしょうか。アンテナから放射される電磁波の*電界と*磁界の位相は揃っている筈(でないと、エネルギーたる電力を伝播出来ないのではないでしょうか)だからです。当然、どのようなアンテナであっても、送信出力は全てアンテナから直接放射していると当局は理解しています。
*電界・磁界:静電界や静磁界のことではありません。
(どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら、ご教示願えないでしょうか。)
掲載された135KHz用EHアンテナの概寸図
これはもう、形状的にはスーパーラドそのものに私には見えます。上のシリンダを追加のCと見れば、共振コイルから離れすぎの寸法の足りないシリンダが付いた、出来がいいとは思えないスーパーラドに見えるのです。記事中のアースのくだりもこのような形状のスーパーラドでは同相電流がとても多いことが容易に想像されるので、これを逃がすためではないかと勘繰りたくなります。
勿論、上記はスーパーラドを実験している私の私見、感想であって、決してこのEHアンテナを中傷している訳ではありません。今回のEHアンテナの形状があまりにスーパーラドに近かったことと、フェイズシフトネットワークが省略されたことからの想像に過ぎません。このEHアンテナはスーパーラドとは違う、何か別の動作原理で働いているのかもしれないのですから。
*この記事を書いた後、色々反響がありました。一番のご質問は「スーパーラドとどこが違うの?」と言うものでした。そこで、このEHアンテナをスーパーラドを実験している私が自身の知見から考察した「感想」を書いてみます。
チューニングコイルを「スーパーラド的」に共振コイルと考え、このコイルのインダクタンスを推測しますと、密着巻きだとすれば26mHほどと推測されます。(写真からの推測であり、スペース巻きかもしれません。)何故このようなインダクタンスが必要だったか。「スーパーラド的」に考えますと、共振させるためのキャパシタンスが構造的に得にくかったからではないか。(135KHzに共振させようとすると26mHで50PFほどですが。)シリンダが離れすぎていて充分なキャパシタンスが形成出来ない分、大きなインダクタンスが必要だった、と。しかし、共振を得ること出来れば、共振コイルの上側のシリンダには誘導二次輻射があってもおかしくありません。(但し、効率は悪いはずです)
他のEHアンテナはともかく、この135KHz用については、スーパーラド的な動作を意図したか否かは別にして、スーパーラド的動作をしている可能性がある。と言うのが現段階での私の感想です。
バーアンテナではないか。
最近、フェライトコアを共振コイルに使った実験があるので、そのために言われているらしい指摘。現段階では性能的に空芯タイプ>フェライトタイプです。バーアンテナは基本的に受信用アンテナだと思います。仮に送信用アンテナとしてバーアンテナを設計しても、例え10-100Wクラスの入力だとしても、それが実用になりそうなバーアンテナとはどのようなものなのでしょう。送信アンテナとしてバーアンテナを試みてみればすぐに判ることだと思えます。それに、バーアンテナの構造に「シリンダ」などありません。